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新建築住宅設計競技2020

新建築住宅設計競技2020 サステイナビリティと都市──これからの住宅と暮らし

テーマ サステイナビリティと都市──これからの住宅と暮らし

21世紀の建築がすべきこととは? 世界人口は2050年までに93億人に達すると推測されています。その予測を信じるとすれば、人口の大部分が大都市に集中し、中には人口1億人にもなる巨大都市も現れると考えられます。同時に、二酸化炭素排出量の80%は都市部が占めているという事実があります。そこで将来的に必要になってくるのが、超高密度の中での暮らしを可能にする新しい都市型建築です。東京、上海、ニューヨークは上手く機能している例といえるでしょう。一方で、コロナ危機やそれに伴うソーシャルディスタンス(社会的距離)を受けて、都市についての新しい考え方も求められるでしょう。最近の出来事の中で、巨大都市の脆弱性が浮き彫りとなっています。

しかし、ひとつ明らかなことがあります。それは、この惑星の資源と調和しながら再び生活できるような住宅や建物をつくらなければいけない、ということです。世界の廃棄物の50%と消費エネルギーの大部分は建設工事や建物運用によるものです。つまり、建築家として、われわれは決定的な違いをもたらすことができるのです。

サステイナブルな建築を生み出すべく努力する中、長きにわたり、単なる技術的な側面のみに焦点が当てられてきました。しかし、これからはもっと全体的な視点を取り入れるべきです。

私のつくった造語で「スーパーグリーン(supergreen)」というものがあります。サステイナビリティの評価が高いことが明らかであるプロジェクトや、間接的に「グリーン」とみなされるような要素を促進するプロジェクトのことを指す単語です。密度を増していく都市について考える時、私が最も重要視しているものは「公共空間」、もっと抽象的に言えば、「社会的な問い」です。優れた建築がいかに新しい解を見つけ出すか考えてみてください。今こそ、現状に疑問を呈する時です。既成概念にとらわれない自由な提案を期待しています。

(クリストフ・インゲンホーフェン)

賞金

  • 入選賞金数点100万円

※入選点数および賞金の配分は審査員の決定に従います。

スケジュール

  • 2020年6月1日 (月)登録開始
  • 2020年9月30日 (水)応募登録終了
  • 2021年1月1日 (金)入選発表

応募要項

  • 参加登録

    登録は、専用WEBページ上の登録フォームから行ってください。必要事項を入力すると、e-mailで登録番号が交付されます。この登録番号は応募にあたって必要となりますので、各人で保存してください。登録番号交付後、登録内容に変更が生じた場合は再度登録を行ってください。また、複数の作品を応募する場合は、その都度登録してください。
    ・交付後の、登録番号に関する問合せは受け付けません。
    ・応募登録は当WEBページ以外からはできません。
    ・携帯のメールアドレスでは登録番号通知メールを受け取れない場合があります。

  • 提出物

    応募作品:寸法420mm×594mm(JIS規格A2)2枚に、配置図、平面図、立面図、断面図、アクソノメトリックまたは投影図、パース、その他設計意図を説明するに必要と思われる図面や、模型写真、グラフなどの図版、設計主旨(英語または日本語で記すこと)などを各自選択して描いてください。
    なお、設計主旨は英文250ワード以内でまとめ、12ポイント以上の大きさで応募作品内に記入してください。また、応募メール本文にも同じ設計主旨を記入して提出してください。
    ・ファイル形式:PDF形式
    ・ファイルサイズ:合計10MB以下(2枚でひとつのファイルにまとめること)
    ・ 応募作品提出時に事前に受け取った登録番号を電子ファイルの名前として使用して下さい。
     (例:skc0000.pdf)

  • 応募方法

    登録完了メールで指定されたアドレス宛に以下の形式でお送り下さい。
    ①メールタイトルは「登録番号(半角英数)/新建築住宅設計競技2020応募案」
    ②応募作品を添付(ファイル容量にご注意下さい。規定外の作品は審査対象外となります。)
    ③メール本文には、登録書類:登録番号・応募者全員の氏名、年齢、職業/代表者の住所、電話番号、ファックス番号、e-mailアドレス、設計主旨(250ワード以内)を順に記入してください。
    注意)応募締切間際は回線の混雑が予想されます。お早めの応募をお願いします。
    なお回線混雑による提出遅れにつきましては対応しかねますのであらかじめご了承下さい。

  • 入選発表

    月刊『新建築』2021年1月号(2021年1月1日発売)、および月刊『a+u』2021年1月号(2020年12月27日発売)、同誌デジタルデータ、当WEBページを予定しています。

  • その他

    ・応募作品の著作権は応募者に帰属しますが、出版権は新建築社が保有します。
    ・応募作品は入選・選外に関わらず、当WEBページに掲載されることがあります。
    ・応募要項についての質問は一切受け付けません。要項に書かれている範囲内で応募者が 各自判断してください。
    ・応募作品は未発表のものに限ります。応募作品の一部あるいは全部が、他者の著作権を 侵害するものであってはいけません。また、雑誌や書籍、WEBページなど、著作物から 複写した画像を使用しないこと。著作権侵害の恐れがある場合は、主催者の判断により入 選を取り消す場合があります。
    ・受賞作品につきましては、掲載時に新たに応募データを送っていただきます。
    ・応募に関する費用はすべて応募者が負担してください。
    ・応募作品は各自で内容を確認の上、お送りください。応募後の作品差し替えは不可とします。
    ・文字化け、リンク切れにご注意ください。リンクファイルは埋め込みとしてください。
    ・規約に反するものは受理できない場合があります。

審査委員

  • クリストフ・インゲンホーフェン

    クリストフ・インゲンホーフェン審査委員

    サステイナブルな建築に取り組む国際的な建築家。1960年ドイツ、デュッセルドルフに生まれる。1978~1984年アーヘン工科大学で学び、1980~1981年デュッセルドルフ芸術アカデミーでハンス・ホライン教授に師事し建築を学ぶ。1984年ウォルフガング・デーリング教授のもとで学位を取得する。ドイツサステイナブル建築協会(DGNB)、建築文化のための連邦基金(Federal Foundation for Building Culture)などの建築協会・連盟の創設メンバーである。1985年よりデュッセルドルフの建築事務所であるインゲンホーフェン・アーキテクツを率いる。サステイナブル、利便性、施工性のほか、光や空間にたいしても深く配慮した建築を多く設計している。事務所の仕事のほか、さまざまなコンペの審査員、世界中での講演活動を行なっている。

総評

コンペティション 2020 総評:サステイナビリティと都市──これからの住宅と暮らし

クリストフ・インゲンホーフェン

クリストフ・インゲンホーフェン 審査委員

21世紀の建築がすべきこととは?世界人口は2050年までに93億人に達すると推測されています.その予測を信じるとすれば,人口の大部分が大都市に集中し,中には人口1億人にもなる巨大都市も現れると考えられます.同時に,二酸化炭素排出量の80%は都市部が占めているという事実があります.そこで将来的に必要になってくるのが,超高密度の中での暮らしを可能にする新しい都市型建築です.東京,上海,ニューヨークは上手く機能している例と言えるでしょう.

しかし最近の出来事の中で,巨大都市の脆弱性が浮き彫りとなっています.コロナ危機やそれに伴うソーシャルディスタンス(社会的距離)を受けて,都市についての新しい考え方も求められるでしょう.これらが,このコンペティションに参加した78名の応募者への問い掛けです.

私はこの危機によって生じた重大な社会問題に対応し,それに対する答えや解決策をもたらす優れたアプローチを持つ作品を選出しました.最初の審査で主に3つのコンセプト,未来の住宅,未来の都市,そしてユートピア/SFに取り組む12作品を候補作としました.複数の応募作品が,サステイナビリティあるいは社会的利益に能動的に寄与するデザイン要素を取り入れていました.受賞作に選ばれたすべての応募作品が問い掛けに対する独自のアプローチと異なる答えをもっていたことから,5つの作品には序列をつけることなく,等しく入選とすることにしました.応募作品に込められた素晴らしいアイデアと努力のすべてに心から感謝しています.そして未来への問い掛けに対する答えを創造していくために,共にこのコンセプトに取り組み続けることを希望しています.

[124]Ark the shelter for living + working + supply(箱舟  生活と仕事と供給のシェルター)は,コロナの感染爆発やそのほかの疾病が流行した際に遭遇する,複雑な問題に取り組んでいます.この提案は高密度の都市のネットワークの一部なのですが,同時に必要があれば広域のコミュニティから独立して機能する,複合的な多目的のマイクロ・コミュニティを提供しています.人の集中によって引き起こされる潜在的な公衆衛生上の問題に対応する,人口密度の高い都市における新しい生活+労働+供給のあり方についての的確な構成を評価しました.

[204]House with Growth(成長と共にある家)は,膨張する人口に対する空想上の未来の答えです.応募者は自律的に成長する住宅という問題に取り組んでいます.プロジェクトは,公共空間と住宅が建てられた区画をコミュニティに還元するプラットフォーム化された農場を,モデュラー・システムに組み込んでいます.

[146]Artificial invasion of nature(自然の人為的な侵略)は,建築の緑化は必須であり,都市の再緑化というかたちで既存の建物にも緑を付加できることを明らかにしています.

未来を見据えた[220]Urban Resource House(都市資源住宅)は,所定の区域の居住者に彼らのための物資を生産する,アーバン・リソース・ハウス(都市資源住宅)を提案しています.彼らは自然環境を損なうことなく,高密度化する都市の人びとにどのように物資を供給するかという困難な問題に答えています.そのコンセプトを通じて彼らは,気候変動とサステイナビリティに大きなインパクトをもたらす,コミュニティと交通のあり方に一石を投じています.

[111]Vertical Urban Village(垂直の都市集落)の独創的な住宅ユニットは,活動的なコミュニティとサステイナビリティの相互作用です.ユニットのモデュラー・システムは4つの重要なコンセプト,構造,生活,栽培,公共空間で組み立てられています.このコンセプトは資源の再利用とエネルギーの効率化を促すことでしょう.それは仕事の空間を統合することでさらに拡張することができる,優れた提案です.

[241]Void-Volume(虚と実──ごみのダイナミズムから都市のサステイナビリティを再考する──)は,私たちが抱える問題(その源は私たちの消費です)と共に社会に向き合う創造的なアイデアのゆえに,特に取り上げておきたい提案です.興味深く目を引くこの作品は問い掛けに対する答えではありませんが,その発想とアイデアは評価されるべきものです.

(本頁,48頁,51〜52頁 翻訳:中田雅章)

応募登録終了2020年6月 – 2020年9月