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新建築住宅設計競技2019

新建築住宅設計競技2019 これからの暮らし

テーマ これからの暮らし

未来とはどのようなものでしょう? 建築家は、進化する生活パターンと将来の課題に向けて、どのように住居を設計することができるでしょう?このコンペは、参加者がこういった問いに答えるための機会となります。参加者に求められるのは、大胆で社会的かつ環境にやさしい、未来的な視点を持った住居の設計です。
20世紀中頃のニューケイナンの建築家たちは、70年前に同じ問いに直面しました。当時の建築家たちにとって、ミッドセンチュリー・モダンは単なるスタイルではなく、社会的、あるいは政治的とさえ言える運動だったのです。建築家たちは、自らが実践していた建築は、それ以前の建築に比べて、より進歩的で時代により適しており、生活のための新しいアイデアを提供する建築だと信じていました。より効率的で科学的な住まいをつくることによって、その当時席巻していた表現である「生活のための機械」として住宅を捉えていました。(『a+u』19:05)
70年以上経った今、プログラム・建築そして都市の両方の観点から、住宅の成功をかたちづくる基準を見直す時が来ました。未来に目を向けるためには、過去の成功と失敗を理解するだけでなく、現在の切迫した課題が何なのかを見極める必要があります。
(アラン・ゴールドバーグ)

 

※プロフェッショナル・アドヴァイザーのアラン・ゴールドバーグ氏より、応募要項について追加のアナウンスメントがあります。
1. 提出物として求められいる設計趣旨は、下記をテーマに英語300ワード以内、または日本語600字以内でお書きください。
「未来に住まう人々が直面するであろう身体的・社会的課題および、これらの課題についてどう対処するのか」
2. 審査は、応募者が下記の課題をどの程度うまく満たしているかに基づいて行われます。
 a. 土地の有効利用
 b. 最新の建築技術の利用
 c. リソース消費量の削減
 d. アフォーダビリティ
 e. 社会的利益

賞金

  • 入選賞金数点100万円

※入選点数および賞金の配分は審査員の決定に従います。

スケジュール

  • 2019年5月1日 (水)登録開始
  • 2019年9月30日 (月)応募登録終了
  • 2019年1月1日 (火)入選発表

応募要項

  • 参加登録

    登録は、専用WEBページ上の登録フォームから行ってください。必要事項を入力すると、e-mailで登録番号が交付されます。この登録番号は応募にあたって必要となりますので、各人で保存してください。登録番号交付後、登録内容に変更が生じた場合は再度登録を行ってください。また、複数の作品を応募する場合は、その都度登録してください。
    ・交付後の、登録番号に関する問合せは受け付けません。
    ・応募登録は当WEBページ以外からはできません。
    ・携帯のメールアドレスでは登録番号通知メールを受け取れない場合があります。

  • 提出物

    応募作品:寸法420mm×594mm(JIS規格A2)2枚に、配置図、平面図、立面図、断面図、アクソノメトリックまたは投影図、パース、その他設計意図を説明するに必要と思われる図面や、模型写真、グラフなどの図版、設計主旨(英語または日本語で記すこと)などを各自選択して描いてください。
    なお、設計主旨は英文250ワード以内でまとめ、12ポイント以上の大きさで応募作品内に記入してください。また、応募メール本文にも同じ設計主旨を記入して提出してください。
    ・ファイル形式:PDF形式
    ・ファイルサイズ:合計10MB以下(2枚でひとつのファイルにまとめること)
    ・ 応募作品提出時に事前に受け取った登録番号を電子ファイルの名前として使用して下さい。
     (例:skc0000.pdf)

  • 応募方法

    登録完了メールで指定されたアドレス宛に以下の形式でお送り下さい。
    ①メールタイトルは「登録番号(半角英数)/新建築住宅設計競技2019応募案」
    ②応募作品を添付(ファイル容量にご注意下さい。規定外の作品は審査対象外となります。)
    ③メール本文には、登録書類:登録番号・応募者全員の氏名、年齢、職業/代表者の住所、電話番号、ファックス番号、e-mailアドレス、設計主旨(250ワード以内)を順に記入してください。
    注意)応募締切間際は回線の混雑が予想されます。お早めの応募をお願いします。
    なお回線混雑による提出遅れにつきましては対応しかねますのであらかじめご了承下さい。

  • 入選発表

    月刊『新建築』2020年1月号(2020年1月1日発売)、および月刊『a+u』2020年1月号(2019年12月27日発売)、同誌デジタルデータ、当WEBページを予定しています。

  • その他

    ・応募作品の著作権は応募者に帰属しますが、出版権は新建築社が保有します。
    ・応募作品は入選・選外に関わらず、当WEBページに掲載されることがあります。
    ・応募要項についての質問は一切受け付けません。要項に書かれている範囲内で応募者が 各自判断してください。
    ・応募作品は未発表のものに限ります。応募作品の一部あるいは全部が、他者の著作権を 侵害するものであってはいけません。また、雑誌や書籍、WEBページなど、著作物から 複写した画像を使用しないこと。著作権侵害の恐れがある場合は、主催者の判断により入 選を取り消す場合があります。
    ・受賞作品につきましては、掲載時に新たに応募データを送っていただきます。
    ・応募に関する費用はすべて応募者が負担してください。
    ・応募作品は各自で内容を確認の上、お送りください。応募後の作品差し替えは不可とします。
    ・文字化け、リンク切れにご注意ください。リンクファイルは埋め込みとしてください。
    ・規約に反するものは受理できない場合があります。

審査委員

  • ナデール・テラーニ

    ナデール・テラーニ審査委員長

    デザインイノベーション、異分野間コラボレーション、および建設業界との深い対話の促進に重点を置く設計事務所NADAAAのプリンシパル。2015年よりクーパーユニオン建築学部の学部長を務める。撮影:Leo Sorel

  • マーク・リー

    マーク・リー審査委員

    建築事務所ジョンストン・マークリー・アンド・アソシエイツの共同創設者。2017年に開催された第2回シカゴ建築ビエンナーレ(『a+u』18:03)で共同キュレーターを務める。2018年よりハーバード大学デザイン大学院建築学科長。

  • リサ・イワモト

    リサ・イワモト審査委員

    イワモトスコット・アーキテクチュア代表。ハーヴァード大学で建築学修士号を成績優秀者として取得後、コロラド大学で構造工学の理学士号を取得。現在、カリフォルニア大学バークレー校で教授を務める。

  • バーバラ・ベスター

    バーバラ・ベスター審査委員

    ベスター・アーキテクチュア代表。ハーヴァード大学で学士号を取得後、ロンドンのAAスクールで学び、SCI-Arcで建築学修士号を取得。デザインや芸術を積極的に都市を取りこみ、ロサンゼルスの建築の再定義を試みてきた。

  • クリスティーナ・パレーニョ・アロンソ

    クリスティーナ・パレーニョ・アロンソ審査委員

    クリスティーナ・パレーニョ・アーキテクチュア代表。建築やアートインスタレーションを通して公共空間を活性化することを専門としている。現在、マサチューセッツ工科大学建築・計画スクールで教鞭を執る。

  • アラン・ゴールドバーグ

    アラン・ゴールドバーグプロフェッショナル・アドヴァイザー

    AG/ENAプリンシパル・アーキテクト。1966年にコネティカット州ニューケイナンのエリオット・ノイズ事務所に参加。以来50年以上にわたり、国内有数の企業や公共機関のために数多くの多様なプロジェクトを設計に携わる。

総評

コンペティション 2019 総評:これからの暮らし

ナデール・テラーニ

ナデール・テラーニ 審査委員

未来の姿とは.変化し続ける暮らしのパターンや未来の課題に応える住まいを,建築家としていかにデザインするか.この設計競技では参加した76人がこのような問題提起を行い,その提案はさまざまな観点,分野にわたった.この問いは,建築家が住宅のコンテキスト(内省的であれ自身が置かれたコンテキストの中であれ,また都市,地方に関わらず)をどのように捉えるかという根本的な課題にも繫るものである.また,「未来」に対する問いは,思索,叙述,投影をする上で適切な感覚を生み出し,まだ存在しない時間と場所の空間だけでなく,それを結び付けるフィクションが描かれた. 
審査員は多くの参加者の中から25のプロジェクトを選出,議論した結果,8作品が入選に至った(入賞4作品,佳作4作品).1等となった[195]「House for our Mothers」(母親たちのための家)では,その確固たる明確なヴィジョン,構成,形態の操作が評価された.家としての役割はほぼ「屋根」であり,そのほとんど完璧なピラミッドの形状は,内部空間同士の空間的関係によって複雑になっている.また,頂点に向かって積み上げられた空間には,屋根窓と屋外に続く大小の開口が設けられている.ボリューム,あるいは一連の平面の集合としてあいまいに設定された屋根は,頑丈と不安定というふたつの解釈のバランスを微妙に保ちつつ描かれている.見慣れた形状でありながら,異化を通して未来への提案を行い,伝統的な技法を恐れつつも採り入れているのが興味深い.また,この作品では,未来に対するふたつの課題が描かれている.ひとつめは,家族の概念を再定義すること.ふたつめは,我々の分野がより広くグローバルに貢献するべく,持続可能な一連の施策を確立することである.2等については,2つの異なるジャンルが接戦を繰り広げた.

1等の作品とは対照的に,[338]「Vil-Link」(ヴィル・リンク)は,対象地として中国の農村部というコンテキストを想定している.急速に拡大する都市から逃れるための場所ではなく,農村部というコンテキストに適した直線的な成長を促す,新しいアーバニズムを提案する.「Vil-Link」が現代中国における喫緊の課題に取り組んだものであるとすると,[068]「Nostalgia Utopia」(郷愁のユートピア)は,中国の過去と想像の未来から物語を構想したものである.この作品は,イラストと製図というふたつのまったく異なる表現方法を用いた一連の精緻なドローイングで構成したものである.このふたつの技法があいまって,厳密な構造と神話的なランドスケープをつくりだし,そこには機知と皮肉も感じられる.3等の受賞作品は,中規模の集合住宅を対象としたものである.[102]「The Tower with Gaps」(空隙のある高層建築)は,高層建築のタイポロジーにおいて,わずかな空隙をいくつも住居間に挿入することにより,空に向かって無頓着に押し出された香港の高層建築に挑んでいる.そのスペース自身が,集団が交流し,空間を共有し,社会に携わり,高層建築で洗練された生活を送るための環境をつくり出す.ダイナミックかつ簡潔なこの作品に続く入選作([177],[291],[318],[328])は,優れたグラフィックにより,それぞれ異なる方法で建築という分野に取り組んだ模範的な作品たちである.[177]「In My Father's House There Are Many Mansions」(わが父の家にはすみか多し)は教会建築の住宅プランを平面上で操作し,[291]「Back to the Nature」(自然に還る)は「部屋」を技術的,ダイアグラム的に反復させ,[318]「a Room」(ある部屋)はグラフィックによる新しい表現を,そして[328]「My Home Plan」(マイホームプラン)は植物の生態学に抽象的に言及している.これら8作品は,全体として,想像力に富み,過去の歴史,今日の差し迫った課題,未来への投影を繋ぎ合わせ,ひとつの空間の表現に落とし込んでいる.

(本頁,47〜50頁,53頁 翻訳:牧尾晴喜)

マーク・リー

マーク・リー 審査委員

[195] House for Our Mothers(母親たちのための家):この模範的ともいえる作品は,現代社会において変わりつつある家族構成という複雑なトピックを巧みに扱っている.ジッグラト(古代メソポタミア,エラムの都市の神殿にある山形の聖塔)のように傾斜した屋根という,よくある典型的な要素を利用しつつ,個人主義と集団主義,自主性と相互関連性の関係に対する新しい理解への道筋を示している.これは突き詰めると,未来の都市において資源をどう配分するかを試すものである.

[318] a Room(ある部屋):住宅は「住むための機械」であるという,ル・コルビュジエの名言を再解釈したこの作品は,部屋というありふれた,建築における基本単位にフォーカスし,それを制作の起点として,この分野の未来を問うものである.空間をつくり出す過程に空間自身が関与するという,適応型の空間が持つダイナミックな可能性についてのまったく新しい認識を,回転ドアからスキャナー,3Dプリンターにおよぶ一連の装置を通して明らかにしている.

リサ・イワモト

リサ・イワモト 審査委員

[102] Tower with Gaps(空隙のある高層建築):簡潔で巧みな方法で香港にある高層建築を再考した点を審査員は評価した.ボリュームを僅かにずらすことで,新しい共有空間を作り出し,複数の世帯が暮らすこの高層建築の見え方にも変化を与えている.

[177] In My Father's House There Are Many Mansions(わが父の家にはすみか多し):説得力のあるドローイングをもって,緻密にプランを検討した作品である.住宅スケールの方が,それを反復させた都市スケールよりも上手くいっていると審査員は思ったものの,いずれにおいても,最小限の手段による素晴らしい創作力が感じられる.

バーバラ・ベスター

バーバラ・ベスター 審査委員

[291] Back to the Nature(自然に還る):この巧みな住宅ユニットは持続可能な暮らしと社会的交流を融合させたもので,より大きなスケールでも再現することができる.自給自足の「グリーンオアシス」は,セル状の都市型農業を実現している.パブリックとプライベートの空間を丁寧に積み上げ,交流とコミュニティーの形成を促す. 近隣スケール(ヨーロッパの住宅ブロックにおけるトロイの木馬)に広げると,都市の持続的な成長の興味深いモデルとなる.

[338] Vil-Link(ヴィリンク):この先進的な提案は,中国の都市化についてのよくあるトピックではなく,新し開発プロジェクトに適した場所として農村地域を取り上げている.提案では,資源用サイロの再利用のために利用者をリンクするネットワークを構築し,それが農村部と都市部に新たなリンクをつくりだす.住宅をこえて,コミュニティー全体を見据えたデザインである.住宅,教育,アメニティ,工業インフラをリンクし,中国の農村部と都市部のコミュニティ―のあいだに活発な繋がりをつくっている.

クリスティーナ・パレーニョ・アロンソ

クリスティーナ・パレーニョ・アロンソ 審査委員

[068] Nostalgia Utopia(郷愁のユートピア)は過去と未来の相互作用に着目したものである.世界最大の発電所である三峡ダムの建設により家を追われた人びとの故郷への想いとして郷愁が描かれている.思索的な新技術が発展するという理想的なシナリオとして提案されたユートピアが,水上に建設された未来都市を通してその人びとを呼び戻す.この作品は,高度な思索と厳密な図面,つまり内容豊かな架空の物語と優れた表現力の組み合わせによるものだ.

[328] My Home Plan(マイホームプラン)が提案するのは,家を人間の付属書として描いた架空の未来である.可動性かつ多用途な2.4m四方の空間が,誕生から死に至るまで同行し,持ち主の死後には骨壺となる.このようなラジカルな思索を行った勇気と優れたイラストによる説明により,佳作に選定された.家を根本的に捉えたのサイエンス・フィクション的な計画は,未来のライフスタイルを変えるものである.

応募登録終了2019年5月 – 2019年9月